
以前、絵本『おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本』が大ヒットしました。
読み聞かせると「ほとんどの子どもを寝かしつけることのできる絵本」として
読み方のHowtoがついて「絵本でできること(手に入る体験)」が明確だったことが大ヒットの要因です。

今回は、
大ヒットした絵本のお話です。
「のぶみ」さんという絵本作家をご存知でしょうか?
小さなお子さんがいる家庭ではご存知の方の多いかと思います。
「しんかんくん」シリーズや
「ぼく、仮面ライダーになる!」「おひめさまようちえん」など
これまでに150冊を超える絵本を出版されてきた絵本作家のぶみさん
私も昔の「でんわくんシリーズ」大好きでした♪
昨年、絵本『ママがおばけになっちゃった!』が大ヒットしました。
発売初日に増刷、
その後も日をあけずに数回の増刷を経て、
発行部数は現在60万部超え。
さらに、Amazon全体のランキングでも1位を獲得するなど、
異例づくしの大事件的な絵本だったので
ご存知の方も多いかもしれません。
内容は「ママが死んでしまう絵本」。
「ママが死んでしまう絵本」なのにママたちから大人気でした。
(感想については、賛否両論ありますが「60万部超え」の視点で綴ります)
本を読んだママたちが
「涙が止まらなくなった」「素晴らしい本」と発売初日に増刷したこの絵本が
出来上がったプロセスが興味深いのです。
この絵本…
ストーリー自体は、のぶみさんの頭の中でパッとひらめき
30秒くらいで絵のイメージまでできあがったとのこと。
発売前に講演会や打ち合わせで会った人など、
約1000人にこの絵本の読み聞かせをしてそうです。
その度、みんなの意見を取り込んで
少しずつ少しずつ直しを加えていって出来上がった本。
いわゆる
「テストマーケティング」です。
さらに
「関わった人みんなでつくった本」
関わった人をどんどん巻き込んでゆくと…
発売と同時にどうなるか、もうおわかりですよね?
実は、私自身も同じように
名刺やパンフレットを依頼や
クチコミ企画やリピート集客シナリオをつくる場合
ほとんど「テストマーケティング」から始めます。
まずはヒアリング
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イメージをまとめ「Ver.1.0」を制作
↓↓↓↓↓
名刺(パンフetc)を小ロット印刷
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依頼者にテスト配布
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その意見・感想をフィードバック
↓↓↓↓↓
精査・反映して「さらにブラッシュアップ」→「Ver.1.1」を制作
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その後の状況をフィードバック
↓↓↓↓↓
「さらにブラッシュアップ」
↓↓↓↓↓
その後…
このように
「ママがおばけになっちゃった!」のように
名刺・パンフレット、販促の企画まで
テストマーケティングを重ねながら「確実に成果を出す」
「周囲を巻き込みながら販促・PRを企画・制作する」ようにしています。
のぶみさんご本人も
今までの絵本は編集者さんと自分だけで作ってきた
でもこの本はみんなの力で作ったという感覚。
だから、作家というよりは、この本の「マネージャー」の気分です。
と、何かのインタビューで答えていらっしゃいました。
【補足】
低感度NO.1芸人の
キングコング西野さんも上手にSNSを活用されて、
絵本作家活動や1000万円の絵を売ったりされていますね。

彼のスタイルは、作家が一人で机に向かって作品を生み出す従来の手法とは一線を画します。SNSを活用した共創(コ・クリエーション)と、バイラル(クチコミコミ)を誘発する仕掛けが幾重にも組み込まれているのが特徴です。
マーケティングおよびクチコミ集客の視点から、その制作工程を4つのフェーズで解説します。
【1】企画フェーズ
SNSでの「公開企画会議」と市場調査
のぶみ氏の制作は、プロット(あらすじ)ができる前から始まります。
彼はInstagramやYouTubeのライブ配信を通じて、読者(主に母親層)に直接問いかけます。
● ニーズの吸い上げ
「今、子育てで何に悩んでいますか?」「子供にどんな言葉をかけてあげたいですか?」といった問いを投げ、コメント欄をリサーチの場に変えます。
● 自分事化(インボルブメント)
読者は自分の意見が反映される過程を目撃することで、「自分が一緒に作っている」という当事者意識を持ちます。
● ABテストの実施
表紙のデザインやタイトルの候補を複数提示し、フォロワーに投票させます。これにより、発売前から「最も売れる可能性が高い(=共感される)ビジュアル」を確定させます。
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【2】制作フェーズ
感情を揺さぶる「極端な共感」の設計
マーケティングにおいて、クチコミが発生する最大の要因は「感情の振れ幅」です。のぶみ氏の作品は、意図的に「賛否両論」や「強烈な涙」を誘う設計がなされています。
● ターゲットの絞り込み(セグメンテーション)
彼のターゲットは「子供」以上に「子育てに疲れ、孤独を感じている母親」に鋭く突き刺さるよう設定されています。
● インサイトの言語化
母親が普段、心の奥底に隠している「母親を辞めたい」「本当はもっと優しくしたいのに」といったドロドロとした本音(インサイト)を言語化します。
● シェアしたくなる「名言」の配置
絵本の中に、そのままSNSのキャプションに使えるような、感情に訴えかけるキラーフレーズを配置します。これが、後にInstagramでの「読み聞かせ動画」や「感想投稿」のフックとなります。
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【3】拡散フェーズ
クチコミを最大化する「読後体験」の設計
のぶみ氏の真骨頂は、本を売って終わりにせず、「本を読んだ後の行動」までデザインしている点にあります。
●「胎内記憶」という強力なコンテンツ
近年彼が注力している「胎内記憶(生まれる前の記憶)」というテーマは、親子の絆を確認し合う強力なツールとなります。
● UGC(ユーザー生成コンテンツ)の誘発
「この本を読んで、子供に『生まれる前何してた?』と聞いたらこう答えました」というエピソードを、読者がSNSに投稿したくなる仕組みを作っています。
● 作家本人による拡散
彼はハッシュタグやメンションを付けた読者の投稿を、自身のストーリーズなどで積極的にリポスト(紹介)します。ファンは「憧れの作家に紹介された」という喜びから、さらに熱狂的な推奨者(エバンジェリスト)へと進化します。
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【4】プロモーションフェーズ
予約販売とランク操作の戦略
出版マーケティングにおける「初動」の重要性を、彼は深く理解しています。
● 予約段階での特典戦略
発売前にSNSでカウントダウンを行い、予約注文を集中させます。これによりAmazonなどのランキングで上位を獲得し、「今、話題の本」という社会的証明(ソーシャルプルーフ)を作り出します。
● 講演会との連動
全国各地での読み聞かせイベントや講演会を行い、その場で直接本を売り、サインを書き、写真を撮ります。この「リアルな体験」が、さらにWeb上のクチコミとして還流するサイクルを構築しています。
なぜ「のぶみ流」は売れ続けるのか
のぶみ氏の制作工程をマーケティング視点で一言で表すと、「ファンとの共創による、徹底した共感のデジタル・マーケティング」です。
- 市場調査(SNS)でニーズを掴み、
- 商品開発(共創)で当事者意識を植え付け、
- コンテンツ設計(インサイト)で感情を揺さぶり、
- 拡散(UGC)によって未知の層へリーチする。
このループが完璧に回っているため、広告費をかけずとも、読者自らが「広報担当者」となって作品を広めていくのです。彼の制作工程は、もはや「本を書くこと」ではなく、「熱狂的なコミュニティを運営すること」に近いと言えるでしょう。






