「リピート販促+クチコミ集客術」のrefsブログ

値上げ交渉事例:取引先との信頼関係構築・具体的事例5選+価格交渉に役立つ各種支援ツール

値上げテクニック+ヒント, 値上げ成功事例, 値上げセミナー, 値上げ参考記事

値上げ交渉術_取引先が離れない値上げ

以前に、製造業経営者さんが多く集まる団体さんにて
「顧客が離れない値上げセミナー」の依頼があり、
約90分お話させていただきました。



最初の60分は、
●
値上げテンプレート&値上げの思考
●価格の魅せ方
●付加価値の見出し方

講義後30分は

●個別の公開相談会

参加者さんの個別の値上げの悩み
●今後の準備や対応などに回答。

BtoBになると「値上げ交渉」「価格交渉」が、基本的に必須になります。
お互いの落としドコロをイメージしつつ

● 取引会社の方針
● 自社の事業計画
● 交渉担当者の性格・相性
● 書類の作成要素と内容構成
● 交渉の手順…など

複数要素による最善解になりますので、なかなか短時間では難しくなりますね…



■価格交渉の手順
(1)既存取引先をカテゴライズする
(2)交渉シナリオ・資料を整える
(3)経営に影響が少ないa社より順に交渉
(4)交渉データを積み重ねて精度てんを高める
(5)
(6)

値上げ交渉の手順
大阪値上げセミナー講師

値上げ交渉は、価格→利益というデリケートな問題に触れるため、既存の取引関係に緊張をもたらしがちです。
しかし、この交渉を「取引解消の危機」ではなく「より強固なパートナーシップへの転換点」と捉え、信頼関係の構築を軸に進めることで、双方が納得できる結果を導き出すことが可能です。
本解説では、値上げ交渉において顧客との信頼関係を築き、成功に導いた具体的な5つの事例にて、分かりやすく解説します。


─────── 目次 ───────

事例1.コスト構造の「見える化」と共同課題の提示
事例2.値上げ幅以上の「付加価値」と「差別化」の提案
事例3.猶予期間の設定と顧客への配慮(経過措置)
事例4.経営層間のトップ会談によるビジョンの共有
事例5.過去の「値下げ要求への対応」を根拠とした交渉
● 価格交渉に役立つ各種支援ツール

──────────────────

事例1. コスト構造の「見える化」と共同課題の提示

.

 

■ 事例概要

──────────

製造業A社は、原材料価格の高騰を受け、主要な取引先であるB社への製品価格の値上げ交渉が必要となりました。A社は、単に「コストが上がった」と伝えるのではなく、具体的なコスト構造をデータに基づいて開示しました。特に、値上げが必要な要因である特定原材料の価格変動トレンド(→主観的ではなく客観的なデータ・数字)、自社の努力による内部コスト削減の取り組み(◯◯%の効率化達成など)の事実を明確に示しました。
.

■ 信頼構築へのプロセス

──────────

● 透明性の確保
企業秘密の範疇を超えない範囲で、コスト構造(特に変動要因)を開示することで、「一方的な要求ではない」という姿勢を示し、誠実さと透明性を担保しました。

● 共同課題としての提示
「このままでは、B社へ安定した品質の製品供給を継続することが難しくなる」という、値上げがB社の利益と安定供給に直結する課題であることを共有しました。

● 結果
B社はA社の努力と厳しい状況を理解し、提案された値上げ幅の約9割を受け入れました。また、B社側からも代替材料の検討を共同で行う提案がなされ、より深い協力関係へと発展しました。
.

■ 事例総括

──────────

「コストが上がったから値上げ」ではなく、「コスト高騰は共同で解決すべき課題であり、そのための必要最低限の値上げである」というストーリーを、データと透明性をもって伝えることが、信頼構築の第一歩です。
.
.

事例2. 値上げ幅以上の「付加価値」と「差別化」の提案

.

■ 事例概要

──────────

ITサービスを提供するC社は、人件費の上昇に伴うサービス料金の値上げに直面しました。C社は値上げ交渉に際し、単に価格改定を通知するのではなく、値上げ幅を上回る顧客メリットとなる具体的な付加価値をパッケージとして提案しました。
.

■ 提案内容(例)

──────────

(1)サービスの質向上:新しいAIを活用した24時間対応カスタマーサポートの導入。

(2)新機能の無償提供: 値上げと引き換えに、通常はオプション料金となる最新のデータ分析機能を全顧客へ無償で提供。

(3)効率化の保証:「この新機能により、貴社の業務効率が最低◯◯%改善することを保証します」という、具体的なコミットメントを提示。
.

■ 信頼構築へのプロセス
──────────

● Win-Winの創出
顧客にとって「値上げというコスト増」ではなく、「コスト増以上のリターンが得られる機会」へと認識を転換させました。

● 顧客視点の徹底
顧客が最も望むであろう「課題解決」と「競争優位性」に焦点を当てた提案を行うことで、C社が常に顧客の成功を考えているというパートナーシップ意識を強調しました。

● 結果
値上げはスムーズに受け入れられただけでなく、新機能の導入により顧客満足度が向上し、C社は他社との差別化にも成功しました。
.


■ 事例総括
──────────

値上げ交渉は「価格の話をする場」ではなく、「サービスや製品の価値」を再定義し、新しい付加価値を提供する場として活用すべきです。「値上げ=機能追加」という交換条件を提示することで、顧客は納得感を得やすくなります。
.
.

事例3. 猶予期間の設定と顧客への配慮(経過措置)

.

■ 事例概要
──────────

卸売業のD社は、全製品の値上げを決定しましたが、主要顧客であるE社に対し、一度に全製品を値上げするのではなく、段階的な値上げと猶予期間(経過措置)を提案しました。
.


■ 具体的な提案内容

──────────

(1)長期的な予告:値上げ実施日の半年前に正式に通知。

(2)在庫補充期間の確保:「実施日までの3ヶ月間は旧価格での大量発注を許可し、お客様の在庫確保と販売計画への影響を最小限に抑えます。」と提案。

(3)段階的な値上げ:初年度は◯◯%、翌年度から10%の値上げに抑えるなど、顧客の準備期間を考慮した段階的な移行プランを設定。
.


■ 信頼構築へのプロセス
──────────

● 顧客事業への配慮
顧客の仕入れコストや販売戦略への影響を最小限に抑えるための具体的な配慮策を提示することで、「御社のビジネスを理解し、尊重している」というメッセージを明確にしました。

● 計画性の共有
長期の猶予期間と計画的な値上げスケジュールを共有することで、顧客は値上げ後の価格を織り込んだ次期予算や販売戦略を立てやすくなり、「急な要求ではない」という信頼感につながりました。

● 結果
E社はD社の配慮に感謝し、競合他社からの提案があったにもかかわらず、D社との取引を継続。値上げ後も発注量を維持しました。
.


■ 事例総括
──────────
「いつから」値上げするかも、価格そのものと同じくらい重要です。顧客側の事情を考慮し、「猶予期間」や「経過措置」といった具体的な配慮を示すことで、交渉のソフトランディングが可能となり、長期的な信頼につながります。
.
.

 

値上げに関する記事まとめ

事例4. 経営層間のトップ会談によるビジョンの共有

.

■ 事例概要

──────────

部品供給を行うF社は、大手メーカーG社との間で、大規模かつ長期的な値上げ交渉に臨みました。現場レベルでの交渉が難航したため、F社の社長自らG社の購買担当役員に対し、トップ会談を申し込みました。
.

■ 面談でのテーマ

──────────

価格の細部に終始するのではなく、「両社の将来の協力関係」と「業界全体の未来」について議論を交わしました。

(1)将来ビジョンの共有:F社が今後3年間で投入する予定の新技術への巨額な投資計画を説明し、「この投資は貴社の次世代製品の成功に不可欠である」と強調。

(2)コスト削減努力の約束:「値上げ後も、我々の努力で可能な限りのコストダウンを継続し、その成果は価格に反映させる」という、将来にわたる継続的な改善のコミットメントを行いました。

(3)リスクの共同負担:原材料価格が一定水準を超えた場合に値上げ、下回った場合に値下げを行う変動価格制を導入し、リスクを共同で負担する提案を行いました。
.

■ 信頼構築へのプロセス

──────────

● コミットメントの重み
現場ではなく経営トップ同士が直接対話することで、交渉の持つ重要性と、F社のG社に対する真剣なコミットメントが伝わりました。

● 感情的な共感
値上げの背景にある経営環境の厳しさや、将来の成長に向けた投資の必要性といった「企業としての想い」を共有することで、感情的な共感が生まれました。

● 結果
G社役員はF社のビジョンと誠実さを評価し、現場担当者に交渉を円滑に進めるよう指示。合意に至っただけでなく、G社の次期プロジェクトの優先パートナーとしてF社を選定する結果となりました。
.

■ 事例総括
──────────

交渉が難航した際、トップ会談は「価格」から「戦略的なパートナーシップ」へと議論のレベルを引き上げ、信頼を深める強力な手段となります。特に長期的な取引では、ビジョンと将来のコミットメントを示すことが重要です。
.
.

事例5. 過去の「値下げ要求への対応」を根拠とした交渉

.

■ 事例概要

──────────

長年、化学製品を供給してきたH社は、過去に顧客I社から厳しい値下げ要求を何度か受けた際、赤字覚悟で対応し、I社の緊急事態を助けたという経緯がありました。今回、H社が経営を維持するために避けられない値上げ交渉に際し、この過去の貢献を丁寧に伝えました。
.

■ 交渉での伝え方

──────────

●「貴社が市場で苦戦していた〇年〇月、我々は貴社の要望に応え、業界平均を大きく下回る価格で供給を続けました。これにより、貴社は競合に対する優位性を維持できました。」

●「今回の値上げは、あの時と同じく、我々が貴社の長期的な安定供給を可能にするための、極めて重要な判断です。あの時の相互扶助の精神を、今回もご理解いただきたい。」
.

■ 信頼構築へのプロセス

──────────

● 恩義の再確認
過去の苦しい状況下での相互扶助の歴史を振り返ることで、単なる売り手と買い手の関係ではなく、相互に助け合うパートナーとしての信頼を再確認しました。


● ロイヤリティへの訴え
値下げ要求に応じ続けたロイヤリティ(忠誠心)を正当な根拠として提示することで、「今回は我々の番だ」という納得感を醸成しました。

● 結果
I社は過去の経緯を重く受け止め、競合他社への切り替えを検討することなく、H社の提案を全社的に受け入れることを決定。この件は、両社の長年にわたる強固な信頼関係の証となりました。
.

■ 事例総括
──────────

信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。過去の取引における誠実な対応や困難な状況での献身的な努力こそが、値上げという試練の時に活きる最高の交渉材料となります。
.
.

価格交渉事例まとめ

.

 

値上げ交渉を成功させる鍵は、価格の論理だけでなく、「信頼」という感情的・戦略的な資産にあります。

● 透明性と誠実さ(事例1)
● 付加価値と顧客成功への貢献(事例2)
● 配慮と計画性(事例3)
● ビジョンと長期的コミットメント(事例4)
● 過去の貢献というロイヤリティ(事例5)


これらを組み合わせ、値上げ交渉を「コスト改定」ではなく「より高いレベルでのパートナーシップ再構築」の機会をイメージして、顧客との関係を強化し、持続的な成功へとつなげることができます。
.
.

 

 

● 価格交渉に役立つ各種支援ツール

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0801/library-info/kakakukoushoutool.html

  • 主要な原材料価格(1,422品目)の推移を示す資料を簡易に作成可能
  • 日本銀行の公表データに基づいており、正確性を担保
  • どなたでもお使いいただけるよう表計算ソフトを使用


(業種の例)
●建設業 ●食品製造業 ●繊維工業 ●印刷・同関連業 ●プラスチック製品製造 ●金属製品製造業 ●生産用機械器具製造業 ●輸送用機械器具製造業 ●道路貨物運送業 ●繊維・衣服等卸売業 ●飲食料品卸売業 ●建築材料等卸売業

埼玉県の価格交渉に役立つ各種支援ツール
埼玉県の価格交渉支援ツール

カテゴリー

BLOG

refsへのご相談はこちら

refsへのご相談はこちら(お問い合わせフォームに移動します。)

ページの一番上へ