
──── 目次 ────
● なぜ方言が効くのか?心を掴むのか?
● 「方言」がクチコミとリピートを生む要素になる
● 値上げ効果!価格にも影響する「方言の秘密」
● 方言キャッチコピー/方言マーケティングの成功事例10選+αと解説
●【まとめ】方言は「人間らしさ」を伝える最高のツール
●【参考】あなたの好きな方言と、その方言が好きな理由
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以前に「どうすればYouTube動画の視聴回数が延びますかね?」と相談された際に、回答のひとつとして
「いまの内容そのままで、岡山弁(相談者の出身地)で撮り直してアップしてみては…」と、お伝えしたことがありました。
相談者はこの案を実行されませんでしたが、その後「藤井風さん」の登場で岡山弁などを耳にする機会が増え「実行していたら、相談者のYouTubeはもっと跳ねたかも…?」と、たられば妄想を巡らせながら、この記事を綴っております。
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今回は「方言マーケティング」についての記事です。
少し前の話になりますが、「どげんかせんといかん」という言葉で、元宮崎県知事が「県内人」「県外人」から注目と共感を集めることに成功しました。
「どけんかせんといかん」
「だっちゃ」
「じぇじぇじぇ」
「たまるかー」「ほいだらね」
「たっすいがは、いかん!」(キリンラガー)
「何回食べてもうまいんじょ」(徳島ラーメン)
「幸せます」(商標登録:防府市地域ブランド)
方言は馴染ある人にとっては、文字だけでなくイントネーション(音)や
当時の想い出と一緒に回想されるもの。
方言という地域資産…
言葉のインパクトや耳に心地よい響きが
安心感と共感と納得を生み、相手の懐の奥の奥へスルッと入り込むのです。
【 閑話休題 】MISIAも博多弁で唄ってますね ^_^
リサーチしておりませんが、地元博多ではカラオケなどで、きっとよく唄われているのでしょうね。
MISIA – 好いとっと (Official Music Video)
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言葉を扱うプロフェッショナル・アナウンサー目線での「方言」。とても興味深いです。
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↑↑↑【津軽弁】青森出身・虎谷アナの「方言縛りロケ」に密着!(前編)
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こんにちは。クチコミ設計とリピート集客(+値上げ)、レフズ合同会社 太田順孝です。
「マーケティング」と聞くと、最新のテクノロジーやデータ分析、あるいは派手な広告を想像するかもしれません。ですが、どんなに時代が進んでも、顧客の心を掴む上で最もパワフルな武器となるのは「人間らしさ」や「共感」に他なりません。
本日は、その「人間らしさ」を最大限に引き出し、意外なほどに強力なマーケティング手法「方言マーケティング」についてです。
「え?方言なんて、ローカルな話でしょ?」
そう思った方もいるかもしれませんね。
しかし、これは単なる地域活性化の手段ではありません。
むしろ「全国規模で通用する深い心理に働きかける戦略」なのです。
今回は、クチコミ設計とリピート集客(+値上げ)の専門家という私の視点から、なぜ「方言マーケティング」が有効なのか、そして、どのようにすれば その魅力と効果を最大限に引き出せるのかを、具体的な事例を交えて解説していきます。

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なぜ「方言」が効くのか?心を掴むのか?
標準語で書かれた文章は、万人にとって理解しやすく、無難な印象を与えます。
それはそれで良いのですが、裏を返せば「誰にも刺さらない」という結果にもなりかねないのです。
一方で、方言には「強力なアイデンティティ」と「親近感」という、2つの強力な要素(破壊力)が宿っています。
【1】アイデンティティの強化
特定の地域にルーツを持つ人々にとって、方言は単なる言葉ではなく、自分たちの文化や歴史、そして誇りを象徴するものです。方言を使うことで、「ああ、この商品・サービスは、自分たちのことをわかってくれている」という強いメッセージを伝えることができます。その地域を離れた人には、懐かしさと共に郷土愛に気づく…など、標準語では比較にならないくらい、相手の心に響くことも。
これは、競合他社には真似できない、その地域ならではの「らしさ」を生み出し、独自のブランド価値を築くことにつながります。
【2】圧倒的な親近感と共感
人は、自分と同じ言葉を話す相手に、無意識のうちに好感を抱きます。方言キャッチコピーを目にしたとき、それは単なる広告ではなく、「地元の友達が、心から勧めてくれている」という感覚に近いものになる…。
この親近感は、信頼感を一気に高め、顧客との心の距離を縮める上で非常に効果的です。特に、高額な商品やサービス、あるいは人生に寄り添うような無形商材(例:保険/教育/医療)においては、この信頼感がリピートや高価格商品・サービスへの理解に直結します。
実際、以前に西宮の美容室のPRにて「地元テイストの要素を入れた、寄り添い語りかけるようなチラシ」で新聞折込したところ、新規来店⇒7割がリピーターになるという結果に…(もちろんスタイリストさんの技術も含めの結果ですが)
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「方言」が クチコミとリピートを生む要素になる
お客さんが「このお店、いいな」と感じるとき、そこには必ず「特別な体験+感情」が存在します。
方言マーケティングは、まさにこの「特別な体験+感情」を生み出すための要素なのです。
例えば、方言を使った店員さんとのやり取り、商品に添えられた手書きの方言メッセージ。これらの些細な工夫が、お客さんにとって忘れられない「記憶のフック」となります。
人は、強く印象に残った出来事を他人に話したくなります。「この前行ったお店、店員さんがめちゃくちゃカワイイ方言で接客してくれてさ〜」といった形で、自然とクチコミが生まれるのです。
そして、一度「心地よい体験」を味わった顧客(お客さん)は、再びその場所に戻って来たいと考えます。これがリピートの始まりです。(その際は、方言で「おかえりなさい」的な接客が、さらに心に響きます♪)
方言が、単なる集客ツールではなく、顧客との長期的な関係性を築くためのコミュニケーションツールや「ほっとする要素」となるのです。

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値上げ効果!価格にも影響する「方言の秘密」
さて、最近は「値上げの専門家」としての講師依頼を頂きます。
値上げというと、顧客離れを心配する経営者も多いでしょう。しかし、正しいプロセスを踏めば 顧客は離れません。
むしろ、値上げをしても「このお店なら仕方ない」「この価格でも欲しい」と思ってもらえる関係性こそが、成功のカギです。
方言は、まさにこの「関係性」を強固にする役割を果たします。
顧客が商品やサービスに「感情的な価値」を感じているとき、価格は二の次になります。
方言がもたらす「親近感」「信頼感」「特別感」は、まさにこの「感情的な価値」そのものです。
「この方言のキャッチコピー、昔を思い出して心が温まるなぁ」
「このお店は、地元愛が感じられて応援したいな」
そう思ってもらえたら、価格が少し上がったとしても、顧客は「応援したい」「この価値にふさわしい」「また来たい(買いたい)」と感じてくれるでしょう。
価格の理由を論理で説明するのではなく、感情に訴えかける。
これこそが、値上げを成功させる秘訣であり、方言がその強力な味方となるのです。
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方言キャッチコピー/方言マーケティングの成功事例と解説
宮崎県小林市 移住促進PRムービー “ンダモシタン小林
「地域の認知」がこの動画の制作目的なら、大成功かと♪
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【1】九州電力「九電のでんきは、よかとこいっぱい」
● 方言:九州弁(よかとこ)
● 解説:「よかとこ」は「良いところ」という意味の九州弁です。九州電力は、この親しみやすい方言を使って、地域住民にとって身近で、信頼できる企業であることをアピールしました。CMでは、タレントがこのフレーズを繰り返し使うことで、メッセージの浸透を図りました。地域に根ざした企業として、住民との一体感を醸成する効果がありました。
【2】紀文食品「だてに伊達じゃない。」
● 方言:宮城県の方言(だて)
● 解説:正月料理の定番である伊達巻のキャッチコピーです。「だて」は「伊達」の読み方でもあり、「だてに〜じゃない」は「見かけ倒しではない」「本物だ」という意味の方言です。ダジャレの要素も取り入れつつ、商品の品質の高さと、宮城県の伊達政宗に由来する伊達巻の歴史や文化を連想させました。地域性を生かした遊び心のあるキャッチコピーとして高く評価されました。
【3】JTB「ずんだもん」キャラクター
● 方言:東北地方の方言(ずんだ)
● 解説:東北地方の名物であるずんだ餅をモチーフにしたキャラクター「ずんだもん」が、東北弁で観光地を紹介するプロモーションです。かわいらしいキャラクターが方言で話しかけることで、観光客に親しみやすさを感じさせ、東北への旅への興味を喚起しました。単なる情報提供に留まらず、地域の文化や温かさを伝えるツールとして成功しました。
【4】広島東洋カープ「カープ女子」
● 方言:広島弁(〜じゃけえ)
● 解説:直接的な方言キャッチコピーではありませんが、広島弁を多用する応援文化が、全国のファンに愛される一因となりました。「〜じゃけえ」などの広島弁が、独特の一体感と熱狂的な応援ムードを生み出し、カープファンの間だけでなく、マスメディアでも広まりました。地域に根ざしたチームのアイデンティティを強固にし、ファン層の拡大に大きく貢献しました。
【5】鹿児島県観光PR「おいしいかごしま、食べとくいやんせ」
● 方言:鹿児島弁(食べとくいやんせ)
● 解説:「食べとくいやんせ」は「食べていってくださいね」という意味の鹿児島弁です。このキャッチコピーは、観光客に「おいしい食べ物がたくさんある鹿児島へぜひ来てほしい」というメッセージを、親しみやすい方言で伝えました。温かく、もてなす気持ちが伝わり、旅の魅力を引き立てました。
【6】仙台市観光PR「伊達な旅、ずんだもん」
● 方言:宮城県の方言(だて)
● 解説:仙台市が、伊達政宗の「伊達」を「洒落ている」「粋な」という意味で使い、観光の魅力をアピールしました。先に挙げた「ずんだもん」と合わせて、地域の歴史と食文化を同時にアピールし、観光客に仙台の個性を強く印象づけました。
【7】沖縄ファミリーマート「でーじ上等」
● 方言:沖縄方言(でーじ上等)
● 解説:「でーじ上等」は「とても良い」「最高」という意味の沖縄方言です。沖縄ファミリーマートが、地元の食材を使った商品や限定商品を宣伝する際にこの言葉を使いました。地元住民にとって日常的に使われる言葉を使うことで、親近感を高め、地域に密着した店舗であることを強調しました。
【8】日本コカ・コーラ「えらいこっちゃ」
● 方言:関西弁(えらいこっちゃ)
● 解説:「大変なことだ」「とんでもないことだ」という意味の関西弁です。日本コカ・コーラが、大阪の限定デザインボトルを発売する際に使用しました。この言葉が持つユーモアと勢いが、限定商品への期待感を高め、話題性を生み出しました。
【9】NHK連続テレビ小説「あまちゃん」
● 方言:岩手県の方言
● 解説:「じぇじぇじぇ」という感嘆詞が全国的な流行語になりました。ドラマそのものが岩手県を舞台にしており、登場人物たちが日常的に話す方言が、作品の世界観を深め、視聴者に強い印象を与えました。地域の文化や温かさを再認識させ、舞台となった久慈市への観光客増加にも貢献しました。
【10】福岡市観光PR「よかまち福岡」
● 方言:九州弁(よか)
● 解説:「よか」は「良い」という意味の九州弁です。福岡市が観光プロモーションでこの言葉を使い、「住むにも、遊ぶにも良い街」というメッセージをストレートに伝えました。シンプルながらも、地元の人が愛する街の魅力を表現しており、共感を呼びました。
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【まとめ】方言は「人間らしさ」を伝える最高のツール
方言マーケティングは、単なる言葉遊びではありません。
それは、顧客の心に寄り添い、感情に語りかけ、忘れられない体験を創造するための、最高のツールです。
● クチコミ:人に話したくなる「特別な体験」を生み出す。
● リピート:心地よい「親近感」で、顧客との関係性を築く。
● 値上げ:感情的な価値を提供し、価格以上の魅力を伝える。
これら全てを高いレベルで実現できるのが「方言マーケティング」です。
あなたのビジネスにも、この「人間らしさ」を吹き込んでみませんか?
いかがでしたでしょうか。この記事が、あなたのマーケティングのヒントになれば幸いです。
もし、さらに具体的なご相談があれば、いつでもお声がけください。
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【参考】あなたの好きな方言と、その方言が好きな理由
Q.あなたの好きな方言と、その方言が好きな理由、どんなところが好きかを教えてください。(n=270)
【北海道弁】なまら可愛い(25歳・女性)
【東北弁】両親の出身地なため、馴染みがある(39歳・女性)
【津軽弁】略語並みに短い会話が成立するから(26歳・男性)
【秋田弁】日本語っぽく聞こえないのが、面白くて素敵(39歳・女性)
【仙台弁】穏やかで優しい(37歳・女性)
【栃木弁】イントネーションが可愛らしい(37歳・女性)
【遠州弁】「ずら」「だに」が可愛らしい(38歳・男性)
【三河弁】田舎っぽいが馴染みある(28歳・女性)
【新潟弁 / 新潟に長年住んでいてやっぱり新潟に対して情緒と誇らしげに思う(25歳・女性)
【富山弁】親しみやすいから(22歳・女性)
【関西弁】メディアで使われることが多く、芸能人で話す人も多いためポピュラーであり、そもそも「方言」という意識がな
い。自分の話す言語として誇りを持っているから(30歳・女性)
【関西弁】口喧嘩したら負けなそうなイメージがカッコイイ(33歳・女性)
【京都弁】怒り方もかわいい(32歳・女性)
【京都弁】優しい発音で、舞妓さんが使っているのをみると素敵だと思う(22歳・女性)
【京言葉】「~し(て)はる」はめっちゃ便利(31歳・女性)
【播州弁】慣れ親しんだ言葉(31歳・女性)
【岡山弁】イントネーションがかわいい(34歳・女性)
【広島弁】イケメンが語尾に「じゃけぇ」とつけてると、可愛く聞こえて「いいなぁ」と思います(31歳・女性)
【讃岐弁】実際に讃岐弁を話している人に会って良いと思ったから(21歳・女性)
【九州弁】子どもがしゃべっているとめちゃめちゃかわいい(34歳・女性)
【博多弁】「〇〇っちゃ」の「ちゃ」の部分が可愛いくて好きです(31歳・男性)
【博多弁】女の子が使うととにかくかわいい(33歳・男性)
【佐賀弁など】九州地方の方言は分かるようで分からないところがいい。訛りだけでなく、言葉が違うと面白いと思う(35歳・女性)
【長崎弁】親の出身地の言葉だから(36歳・男性)
【熊本弁】クレヨンしんちゃんで話してるのを聞いて可愛いと思った(27歳・女性)
【宮崎弁】どげんかせんといかん宮崎ならではの方言だから(28歳・女性)
【鹿児島弁】鹿児島の方言は、イントネーションが人が好さそうな感じで癒される(37歳・女性)
【沖縄弁】外国語に近いところがかっこよく聞こえる(25歳・男性)
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株式会社パートナーエージェント調べ より
https://www.nikkan.co.jp/releases/view/85994
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●ご当地愛ランキング(方言・なまりについて)
1位 福岡県‥‥‥48.0%
2位 大阪府‥‥‥47.0%
3位 沖縄県‥‥‥45.7%
4位 広島県‥‥‥44.0%
5位 鹿児島県‥‥43.4%
6位 青森県‥‥‥40.6%
7位 京都府‥‥‥36.6%
8位 熊本県‥‥‥34.7%
9位 高知県‥‥‥34.1%
10位 秋田県‥‥‥34.0%
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【出所】株式会社リクルート 旅行カンパニーじゃらんリサーチセンター より
「ひざっこ曲げて」←この表現かわいいですね♪

